6月20日『第30期竜王戦』6組昇級者決定戦で、加藤一二三九段(77)と高野智史四段(23)が対戦した。現役最高齢棋士で、将棋界の「生きる伝説」と言われる加藤一二三九段が対局に敗れ、引退することになりました。63年間の棋士生活での輝かしい実績、「ひふみん」の愛称でバラエティーでも活躍されている人気の秘密をまとめます。
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加藤一二三九段は、今年の1月、名人戦・順位戦C級2組から降級したことで、定年規定によりすべての対局が終了した時点での引退が決まっていました。
今回の対局で敗れれば、即引退となる大一番で、20社50人の報道陣が押し寄せる中、加藤九段は気合に満ちた表情で対局に臨みました。
出典:http://news.livedoor.com/article/detail/13229861/
対局の様子
東京・千駄ケ谷の将棋会館の対局室に姿を現した加藤一二三九段は、紺色のスーツにブルーのネクタイをトレードマークにもなっている長めに絞めていました。
座布団が気に入らなかったのか、自分で座布団を直し座りました。
加藤九段は、口を真一文字に結び、険しい表情で上座に座り、午前10時に対局はスタートしました。
持ち時間は5時間の対局です。
加藤九段といえば対局時の食事は「昼も夜も、うな重」という伝説で有名になっています。
引退がかかった大一番で加藤九段が注文した昼食は、将棋会館近くにある鰻店「ふじもと」の「うな重・竹」だったようです。
日本将棋連盟によると、「ふじもとのうな重は、棋士の皆さんがよく利用されるそうです。」
村)大勝負となる今日の昼食も、おなじみの「うな重でした」。
敗れたら引退の加藤九段、定番のうな重で午後に備える:朝日新聞デジタル https://t.co/xCRXXiP02p— 朝日新聞将棋取材班 (@asahi_shogi) 2017年6月20日
加藤九段はうな重にこだわる理由についてコメントしています。
若い頃はラーメンが多かったです。鍋焼きうどんも好きなのですが、熱いので、冷めるまで待っていると15分ぐらいかかる。まさか水をかけるわけにはいきませんからね。うなぎは温かいし、腹持ちもするのでこれに落ち着きました。
対局中に迷いたくないので、決めておいた方がいいんです。でも、時には考えることが面白くて、食べるのを忘れることもあります。後でおなかがすいてきて、「食べておけば良かった」と思うのですが。
引用元:朝日新聞 2016年11月21日夕刊・東京本社版より
加藤九段と高野四段の対局は、相矢倉模様で序盤が進みました。中盤に高野四段のはし歩攻めが上手く行き、加藤九段が苦しい展開で進んでいきます。
将棋ファンの間では、加藤九段が夕食でも「うな重」を頼むのか注目が集まっていました。
午後5時前、係員が夕食の注文を聞きに訪れると加藤九段は「カキフライ定食」と「鳥の唐揚げ定食」を注文。まさかの定食2人前という奇手が炸裂!!対戦相手の高野四段は驚いた表情を見せました。
係員が「カキフライ定食は(冬季限定で)ありません」と告げる。加藤九段はここで注文を再考しました。
加藤九段は再考した結果、『天ぷら定食』と『冷やしトマト』を注文したそうです。
加藤九段、高齢なのに食欲が旺盛ですね。将棋は頭をフル回転させるので、栄養を頭に行かせるためですね(笑)
午後6時、加藤九段と高野四段は夕食休憩に入った。大一番はいよいよ終盤へと突入する。
加藤一二三九段は午後8時10分に投了。この瞬間、加藤九段は引退。62年10カ月にわたる現役生活に終止符を打ちました。
加藤九段は、終局前に自らタクシーを手配。投了直前には押し入れから鞄を出し、靴も用意した上で、記録係と観戦記者に「今日は感想戦はなしで」と通告しました。直後に投了を告げると、そのまま急ぎ足で対局室を出て、エレベーターで1階まで降りると、タクシーに乗り込み、報道陣から身を隠すように将棋会館を後にしました。
「加藤九段は、敗戦が本当に悔しかったので、感想戦をしなかったのではないかと感じました。最後まで勝負にこだわり負ければ悔しい気持ちを持たれているのが、素晴らしいと感じました!」
加藤九段の最後の対局の投了の映像がYoutubeにアップされていたので紹介します。
加藤一二三九段対高野四段の対局棋譜の動画もありました。
加藤九段は対局後の記者会見は行わず、自信のツイッターでコメントしました。
本日を持ちまして、わたくし加藤一二三は公式戦からは現役を退く運びとなりました。当時の史上最年少記録となる14歳7ヶ月でのプロデビュー以来、63年もの長きに亘り、各棋戦を主催いただき多大なる御支援賜りましたすべてのスポンサーの皆様、報道関係者の皆様には、心より厚く御礼申し上げます。
— 加藤一二三@皆様に感謝申し上げます (@hifumikato) 2017年6月20日
加藤一二三九段、本当にお疲れ様でした。
加藤一二三九段の輝かしい実績
1954年、14歳7カ月の若さで四段に昇段し、史上初の中学生棋士になりました。藤井聡太四段(14)に塗り替えられるまで、史上最年少記録でした。
デビュー初年度から順位戦で4期連続の昇級を果たし、18歳でA級入りするなど、「神武以来の天才」と称されました。
1968年に第7期十段戦で初タイトルを獲得しました。
1982年には、名人位も獲得し、将棋界の頂点に立ちました。
獲得タイトルは、名人位1期、十段3期、王位1期、棋王2期、王将1期の通算8期(歴代9位)。
棋戦優勝は23回で、通算成績は対局数2505(歴代最多)、1324勝(歴代2位)、1180敗(歴代最多)、1持将棋。
「加藤一二三九段の実績は本当に素晴らしいですね!!」
加藤一二三九段の人気の秘密
加藤九段は、対局中に相手が驚くほどの勢いで駒を打ち付けて、闘志を前面に出すというのは有名です。
対局中に相手の背後に回って盤面を見る、ネクタイは常に腰より下までの長さというようなエピソードもあります。
食事にもこだわりがあり、対局時の食事も大好きなうな重が多かったようです。
加藤九段は、大の甘党としても知られており、「1日に板チョコを8枚食べる」と発言したこともありました。
加藤九段は、このような他の棋士がしないようなことを、堂々とするところが人気の秘密でもあるようです。
独特な言語感覚で、テレビのバラエティーなどでも「ひふみん」の愛称で親しまれるという人柄が魅力的なんですね!
62年の長い間、将棋界で活躍された加藤九段、本当にお疲れ様でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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